ジェネリックについての投書。

 ウチはまだまだ読売新聞。
 投書欄を見ていると、ときどき、オゥ?と思わせる投稿がある。心がひねくれている私はその意味を勘繰ってしまう。今日もそんな投稿があった。
 3月17日、気流「ひびき」より。「後発医薬品の普及」と題した特集。
 まず、3月8日付で掲載された投書の要旨から。

黒河淳さんの投書の要旨

 医療費抑制のため厚生労働省は新薬と有効成分が同じで価格が安い後発医薬品の普及を進めるという。持病で通う医院に後発医薬品への変更を頼んだが、医師に「品質に問題がある。処方できない」と断られた。
 今後さらに普及するには品質への信頼が高まることが必要だろう。医師、患者とも、後発医薬品をできるだけ使っていくようにすべきだと思う。(8日掲載)

 これに対しての投書が2つ掲載されている。
 まずジェネリック推奨派。

薬替えてみたら下がった高血圧

パート 千葉 節子 58
(札幌市)
 「後発医薬品信頼感カギ」の投書を読みました。私は40歳代後半から高血圧に悩んで以来、薬を飲み続けても血圧が一向に下がらず、あきらめていました。
 そんな時、病院に張ってあった後発(ジェネリック)医薬品のポスターが目に入ったのです。先生に相談したところ、「試しに薬を替えてみましょう」ということになりました。先生が選んだのは後発医薬品でした。
 翌日から服用したところ、血圧が30近くも下がったのです。ウソのような効能はその後も続き、現在ではすっかり通常の血圧に戻って体調も良好です。
 「後発医薬品は品質に間題がある」と言う人もいるようですが、私にはこの薬はよく効きました。薬代も約3分の1に減りました。
 信頼できる先生に相談し、少しでも多くの人が安くて安心な薬を見つけられればいいと思います。

 どの薬をどう変えたのかも記されてないのに、“ジェネリックに変わったら血圧が30近くもさがった”とある。
 プラセボ効果ってのもあるやもしれないのに、“ジェネリックにすれば血圧をストーンと下げてくれる”なんて読者にすり込んでしまいかねない表現だ。
 つぎ。慎重派。

新薬とは別の薬 効果に目向けて

元公立病院勤務医 中村 九輔 83
(東京都江東区)
 後発医薬品の信頼感を高めて普及促進すべきだとの投書を見ました。確かに後発医薬品は新薬と同じ主成分で作られているにもかかわらず、値段が安いというのが利点です。
 ただ、私の長年の経験から言うと「主成分」が同じに表記されているからといって、必ずしも効果も同じだとは限りません。両者はまったく同じ薬品ではないので注意が必要です。
 診療に従事していた時のことですが、患者さんの利尿剤を後発薬に替えたら「尿の出が悪くなった」と患者さんが申し出てきたなど、同じ主成分にもかかわらず薬効が悪化したという例を何度も経験しました。
 投稿された人の主治医は「品質に問題がある」と後発薬を処方されなかったようですが、私から見れば良心的な医師だと思います。薬価を選ぶのか、薬効を選ぶのか、慎重に考えるべきではないでしょうか。

 経験則から、慎重にすべきと考えておられる先生の意見。
 これらの投書を受けて、気流デスクから。

 後発医薬品については、1998年から品質の再評価が行われ、結果はジェネリック医薬品メーカーの団体が協力している「オレンジブック(医療用医薬品品質情報集)総合版ホームページ」(http://www.jp-orangebook.gr.jp)でも見ることができます。普及の是非について議論する際には、こうした情報も参考になりそうです。
(気流デスク)

 この記事での収穫は、このオレンジブックのページの存在を知ったことくらいかな。
 オレンジブックの検索ページ医療用医薬品の添付文書情報を組み合わせれば、たいがいの薬品の添付文書まで手に入れることができるというわけだが、肝腎の薬効は、副作用はどうなのだろう…?
 また、こんな投書をトップに持ってくるってことは、読売もジェネリック推奨したいだけなんじゃないか?なんて考えたりして。
 結局、まだ不安は残るのだ。