悲しいときぃ〜っ。

 古いか。今日、というか正確にいえば、昨日になりますが、明けでした。その前の当直(と言う名の夜勤=時間外外来)での出来事。当直室のテレビが壊れてました、ってそれはそんなに悲しくはないこと。
 朝方、5時頃。近医、これをA病院としましょうか、で腎結石の既往のある30代男性。最近は通院されていないとのこと。側腹部痛を主訴に受診。腹部超音波、尿一般検査、腹部単純写真にて、右腎結石の嵌頓による疼痛発作と診断。疼痛コントロールしつつ、今後の方針を話さねばならない。
 最近の大学病院は、予約患者以外、紹介状がない一見さんからは特別料金を徴収することになっている。なんでも受け入れてしまうと、大学病院はパンクしてしまうから、それを抑制するひとつの策となっている。が、そんなのお構いなしに、患者さんは来てしまう。大学病院だと安心だから、などと言って。
 泌尿器科も例外ではなくて、各外来担当先生それぞれ、ヒーヒーいいながら、待たせた患者にはごめんなさいしながら、日々の診療を続けている。尿路結石の場合、内服や鎮痛目的の坐薬等処方して、しばらくしてそれで自排石してくれればこんなに楽なことはないんだけど、やっぱり積極的に治療に行かねばならない場合もある。その中で、外来で出来る治療としてあげられるのが、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)。もちろん予約制。私も外来やっている以上、外来来てもらっても、今回のように、時間外外来から通常外来に送られるような患者さんの場合は、外来受診するだけでも、予約患者以上に待たされるのはわかっているし、それに加えて、ESWLの予約の空きが1か月くらい先であるのもわかっている。また、この患者さんが通院していたA病院にもESWLの施設があることもわかっていた。
 そんなことを、朝のボーッとした頭で、1分くらいで考えて、その患者さんに、ウチの病院がどれだけ混んでいるかとか、予約してもかなり先になるかもしんないよとか、正直に言えば、「ウチ(の病院)に来ないでくれ」光線を発しつつ、お話をしていたら、その患者さんに通じたんでしょうね、ちょっとムッとした顔になり、
「わかりました、要は来てほしくないってことなんでしょう?」
 んーと、認めちゃいけないんだけど、正解。もちろん、言いませんよ、そんなこと。一生懸命に弁解しましたよ。「そうでなくて、お待たせすることになりますけれども、それでもいいですか、って言いたいんですよ。どうしてわかってくれないのかなぁ。」って力説しましたよ。でもね、どんどん泥沼にはまる感じで、こちらが話せば話すほど、患者さんの心が離れていくのを感じました。
 まぁ、いいですよ。この患者さんも、最後には言っていました。
「A病院も時間外外来やっているのは知ってましたよ。でも、痛いし、近いからこっちに来たんですよ。そこでこんなこと言われるなんて思ってなかった。わかりました、前の病院(A病院)に行きますよ。薬も紹介状もいりませんよ。」
 紹介状うんぬんってのは、私が、紹介状いりますか、って話をふったから言ってたんですけどね、A病院かかったほうがいいのかなって意識はあったってことですな。わかってやってるからなおタチが悪い。
 医療がサービス業だってぬかすヤツがいるらしいけど、それは大きな間違い。我々医療従事者はそれだけの賃金も、勤務体制にもおかれていません。接遇教育なんてやっても、それだけの感情をコントロールできる環境に置かれなければ無理。通常勤務のあとに当直(と言う名の夜勤)をやって、そのまま通常勤務を続ける、なんて勤務を行っているうちは、充分なサービスなんてのは出来るわけがない、今なんとか保っているのは、それぞれの医療従事者の気力で提供できている、と考えてほしい。
 もう一度記しておきましょう。医療はサービス業ではありません。