初の食い逃げ。

 昨日は当直(という名の夜勤)。大学病院だから点滴がもれた、つまったで入れ直すために平気で呼ばれます。大学病院のナースの点滴の技術はどーなってんだろう、とときどき思います。
 で、今日思い出したこと。全く関係はないのですが。先日、私にとって初めての食い逃げ、会計踏み倒しがありました。
 いつもの外来でのお話。外来も終盤に近づき、待ち時間が3時間になってくる頃。両側腎結石で両側に腎瘻造設。カテーテル管理をしている男性。ときどき腎盂腎炎で入院される、私もよく知っている中年男性ですが、カテーテルが抜けたかも、と外来受診。14〜15時ごろだったと思います。これを患者Aとしましょうか。
 もう一組。以前尿管結石の診断・治療を他院で受け、そのときと同じ痛みがあるといって同じく14時ごろ受診したのが20代男性。若いネーチャンが付き添っていました。これを患者Bとしましょう。
 腎瘻カテーテルトラブルと尿路結石に伴う疼痛発作。どっちを先に見るとしたら、もちろん患者A(カテーテルトラブル)の方。なぜなら、疼痛発作は今すぐには危険はないし、疼痛といってものたうち回るほどではなかったから。
 腎瘻はカテーテルなどの人工物が入っていないと、ものの2〜3時間で閉じてしまいます。腎瘻は尿管狭窄、閉塞などによる腎後性腎不全、腎盂腎炎を避けるためのもの。それが一度ふさがってしまうと、その時点で水腎症はないでしょうから、再び造設するには水腎症がつくられるまで待たなくてはなりません。したがって、腎瘻を一度作成したら、それを守ることに重きを置くこととなります。
 まずは患者Aの診察。Aさんも慣れたもので、自宅でカテーテルが抜けたところで奥さんカテーテルを再び突っ込むよう指示したそうです。それがよかったのでしょうか、カテーテルはいい位置で入っていました。腎盂洗浄を行うと、洗えません。カテーテルの位置は今まで通りでも、洗浄ができなければ、尿が排出されない可能があります。透視下で位置調整をすることとなりました。
 で、Bさんの診察に移ります。KUB上明らかに結石を疑う所見無く、腹部エコー上、水腎はなかったと思います。あまり患者自身に思い入れもないので、詳細はもう忘れてしまいました。食い逃げだから。結石は明らかではないのですが、それは後日IVPなど行うとして、疼痛をなんとかせねばいけません。自宅でNSAIDs使ってきたとのこと。しかし時間も経っているようなので、再度NSAIDsを使用。30分経っても症状は軽快しません。つぎの手、ソセゴンを使いました。やはり30分くらいは見ていないといけません。その旨付添のオネーチャンにお話しました。このあいだに、先ほどのAさんのカテーテル調整を行います。
 なんだかんだで30分以上のカテーテルとの格闘。終わったところで外来に戻れば、Bさんがいません。どういうことだと院内探してもおらず、全館放送をしても戻らず。会計に確認してみれば、会計を済ませていないと。こりゃ一大事だと、よせばいいのに本人に電話。俺としては、事務にまかせりゃいいじゃん、と思いますが。で、なぜか俺に電話をまわす。ここがうちの病院のおかしいところ。大事なところはすべて医師のせい。
 電話での細かいやり取りはもう忘れましたが、不満な点としては、外来でなんの話しもされずにほっておかれたので、腹が立って帰ってきたと、どういうことだと。レストランにたとえてみればなんでしょ。Bさんにコース料理の途中まで出したのに、Aさんへの料理を準備している最中に、Bさんが遅いとも何も言わず勝手に会計もせずに帰ったということでしょうか。立派な食い逃げです。
 これは医師がどうこうすることではありません。勝手に帰った時点であとは事務におまかせ。そんな患者見る気もありません。勝手に帰ったことをカルテに明記し、あとは事務がなんとかしてください、といったところです。
 食い逃げなのに、それなりの対応はしないんでしょうかね。4月から別の病院に移るからいいけど。こんな病院。