きっかけはひとつの投稿から。

 読売新聞のヨミダス文書館(有料)で検索した、気流欄より。

2002. 07. 31
[気流]医師の負担重い生保の書類作り 医師・戸田繁39(静岡県掛川市
東京朝刊 気流
11頁 532字 01段
 救急医療に携わる医師の過酷な勤務実態が注目されています。総合病院の勤務医である私も、外来、回診に手術、当直での救急対応など、日夜、多忙な生活を送っています。
 そうした日々の業務と並行して、多くの医師は「書類作成」の仕事も抱えています。代表的なものが、入院患者さんの経過を生命保険会社向けに報告する「入院証明書」の作成です。作成には一枚あたり少なくとも十分程度はかかり、多くの時間が割かれます。
 特に不便に感じるのは、入院証明書の書式が各生保会社ごとに異なっていることです。
 記載するのは入院に至る経緯、期間、治療内容など、どこの会社でも同じなのに、書式が異なるため、患者さんによっては、同じ内容の書類を四、五枚も書かなければなりません。一人の書類作成に一時間ほどかかることもまれではありません。
 「医療不信」が叫ばれる昨今、医師は患者さん側へのインフォームドコンセント(説明と同意)に多くの時間を充てることが求められています。書類作成も大事な仕事ですが、非効率さを排したいと思う医師は少なくないと思います。
 生保会社には「入院証明書」の書式を業界で統一してもらえれば、現場はどれだけ助かることでしょう。医師の限られた時間を医療に集中できるよう配慮していただければと思います。

 もうこの時期に書類作成の面倒さを訴えていますよ。当時から4年以上、なにも変わってないどころか、悪化する一方ですよ。
 で、この投稿に呼応して、お二人から投稿がありました。

2002. 08. 03
[気流]いのち医療を考える 「証明書」の書式、統一してほしい 大塚裕美30
東京朝刊 気流
13頁 387字 01段
 ◇主婦・愛知県一宮市
 入院患者の経過を生命保険会社向けに報告する「入院証明書」の作成が、本来の仕事の負担になっているという医師からの投書を読みました。私は以前、大学病院の医療事務員として勤務していた時のことを思い出しました。
 私の担当は外科系の受付でしたが、特に外科は、入退院や手術などが多く、患者さんから「入院証明書」などの発行を依頼されることが頻繁にありました。
 医師の投書でも指摘されていた通り、生保会社ごとに入院証明書の書式は異なっています。一人で複数の生保の書類を持ち込まれる方もあり、医師は、何通りもの書式の書類を作成するために多くの時間を費やさなければなりません。
 医師は本来、病棟回診や手術、急患対応など多くの仕事を抱えています。医師が少しでも患者さんのためにより良い医療を提供できるようにするためにも、生保業界では、「入院証明書」の書式を統一してほしいと思います。

 以前医療事務をされていた、主婦の方からの投稿。もうひとつは医師から。

2002. 08. 06
[気流]生保の提出書類、電子化も考えて 医師・菅又孝46(さいたま市) 
東京朝刊 気流
10頁 581字 01段
 患者さんが、生命保険会社に提出する「入院証明書」などの記入のために、医師が多くの時間を費やしている実態を訴えた投書(7月31日)を読みました。私も勤務医時代、保険関係の書類でずいぶん時間外勤務をしました。
 外来や病棟の勤務が終わると、受付などから、まだ記入していない証明書を数多く渡されます。一人の患者が複数の生命保険各社の証明書の書式を出してくるケースでは、そのぶん労力も神経も余計に使います。
 そんな時、医学の専門誌に、「生保関係の書式は統一できないか」という同じ悩みを抱える医師の質問に法律家が答えている記事を見つけました。それによれば、会社ごとに書式を変えなければならないとする法律の規定はなく、郵便局の簡易保険の書式でこと足りるというものでした。
 早速、生保会社に問い合わせると、「できれば各社ごとの書式で記入してほしい」とのことで、書式を義務づけているわけではないことが分かりました。
 そこで、私は簡易保険の各種証明書の書式をひな型に、診断書や入院証明書の書式を作り、二枚以上必要な時は、必要な数だけコピーし、署名、なつ印したうえで患者さんに渡すことにしました。これでもトラブルは起きていません。
 現在、レセプトやカルテのIT化が進んでいます。生保会社の証明書のたぐいも早く電子化できないものでしょうか。そうすれば、医師が医療に専念できる環境が整うと思います。

…コピーすりゃ大丈夫って言ってますね。
 やっぱり、事務は反対するだろうけど、強硬に、コピーで行きましょう。そのほうが楽だもんな。