あらためて医療費について考える。

 注目の映画「シッコ(Sicko)」が一部劇場で公開された。私のところでは9月から。時間をつくって見に行こうとは思う。
 それに関連して、はてなのトップページ、現時点(2007年8月26日 8:45)で注目記事となっている、id:zoot32さんのエントリー、「「シッコ」を見たゼ!」から、一部引用。

…日本の医療制度ってわりと米国寄りだとおもうなー。医療費、高いもん。保険会社の業務改善命令だって、わりとよくニュースになっているし。病気になると金がかかるというのは、わたしの実体験でもあるし、みんなが怖れていることでもある。

 入院するほどの帯状疱疹の経験があるようで、その経験から、医療費が高いと言う印象を持っておられる様子。
 医療制度が米国よりに近づいていっているのはアタリ。保険会社が金を払いたがらないのもアタリ。でも、医療費が高い、これは間違い。
 じゃあその理由は、と、どこかにまとまったものがないかと探してみると、ここ。

【特別寄稿】理念なき医療『改革』を憂える
第1回 日本の医療費は過剰か?
ウェブ魚拓

 ここから引用。

 まず注意していただきたいのは,GDPの総額が大きい国ほどGDPに対する医療費の割合も大きいという傾向があることである(米国,ドイツ,フランスなど)。つまり,「豊かな」国ほど,医療に惜しみなく金をかけ,国民の命と健康に高い値段をつけているのが世界の傾向なのである。先進国の中で,この傾向からはずれ,国民の命と健康の値段を値切っている国はわずかに2か国,日本と英国だけである。

 日本は医療に金をかけてない。医療費高い高いと騒いでいるのはお役所とマスコミ。特にマスコミは、その検証や、他国との比較をしようともしない。ただただアメリカって大変ねぇ(*´・ω・)(・ω・`*)ネー、だけ。ビリのイギリスは、医療費を増やしているので、日本がビリ確定となっている。
追記1)もっと新しいデータでのまとめ。こちら。
外科系学会社会保険委員会連合 日本の医療費について

 世界先進国の中では最も低いのです。つい先頃までは英国が7.7%で日本よりも低かったのですが、英国国民の医療に対する不満を解消するためにブレア政権が数年前から医療費増加政策に転じたため、現在では英国にも抜かれてしまいました。

 日本、ビリです。
(2007年8月26日 9:39追記
追記2)もっと調べたら、って、最初から調べてからまとめろ、ってツッコミがきそうだが、今年の7月にOECD*1のヘルスデータの2007年度版がでたらしく、いくつか話題にしているところがあったので、新聞・雑誌記事横断検索より検索。
 共同通信より。

日本の医師不足、浮き彫り OECDの加盟国医療統計

 一部引用。

 日本の一人当たり医療費は二千三百五十八ドル=約二十八万円相当=(〇四年、購買力平価換算)で三十カ国中十九位。厚生労働省は医療費抑制を目指すが、日本の現状はOECD平均を下回り、先進七カ国(G7)では最低だ。

 新しいデータを見てもビリということで。変わりはなしね。
(2007年8月26日 15:54追記
 注目記事となってるから余計に、「日本の医療費は高い」という間違った認識があることが気になる。id:zoot32さんのところ、コメントもTBもできないようなので、こうして記すことになった。
 医療費問題を論ずるうえでは「Sicko」公開もいい機会だろう。ま、その前に自分が時間つくって映画を見なきゃね。
 でもね、うちの嫁はあまり見たくないっていうから、ひとりで行かないといかんな、ブツブツ…。
 以下は共同通信の記事。

日本の医師不足、浮き彫り OECDの加盟国医療統計
2007.07.24 共同通信 (全636字) 
 【パリ24日共同】経済協力開発機構OECD、三十カ国、本部パリ)は二十四日までに、先進国が中心の加盟各国の医療を比較する「ヘルスデータ二〇〇七」を発表した。日本については、医師の不足や、治療行為に比べて予防医療をなおざりにしてきた側面が浮き彫りになった。
 人口千人当たりの医師数を見ると、日本は三十カ国中二十七位の二・〇人(〇四年)で、OECD平均の三・〇人を大きく下回る。一方、一年間に医師の診察を受ける回数は国民一人当たり日本は一三・八回(〇四年)で、データがある二十八カ国中で最多。少ない医師が多くの診察をこなさざるを得ないことが分かる。
 高額な医療機器の数が飛び抜けて多いのも日本の特徴。人口百万人当たりのコンピューター断層撮影装置(CT)の設置数は、日本は九二・六台(〇二年)で二位以下に大差をつけ、OECD平均の約四倍。磁気共鳴画像装置(MRI)も同様に日本が首位だ。
 これに対し、乳がんの発見に役立つ乳房エックス線撮影(マンモグラフィー)を過去一年間に受診した五十−六十九歳の女性は、日本ではわずか4・1%(〇四年)で、データがある二十五カ国中、最低。OECD日本政府代表部は「治療を重視し、予防医療を比較的軽視してきたことが反映された」と分析する。
 日本の一人当たり医療費は二千三百五十八ドル=約二十八万円相当=(〇四年、購買力平価換算)で三十カ国中十九位。厚生労働省は医療費抑制を目指すが、日本の現状はOECD平均を下回り、先進七カ国(G7)では最低だ。
共同通信社