伝え過ぎたり、伝え足りなかったり。

 今日は当直(と言う名の夜勤)。
 iPod Touchが面白くてしょうがない。どうしてくれよう。
 今朝のTBSラジオ医療に対しての発言では前科のある、森本毅郎氏司会の「スタンバイ」。TBSテレビはもうどうしようもないが、TBSラジオは安心して聴ける番組が多いので毎日聴いている。
 その番組内、評論家の小沢遼子氏とのコーナー。
 簡単に言えば、その週にあった出来事についてしゃべるだけなのだが、そこで挙げられた話。
 最近の目立ったニュース。チューリップを損壊させた犯人のビデオ公開。硫化水素による相次ぐ自殺。
 ビデオを公開された犯人は、(チューリップ損壊も立派な犯罪ではあるが)あたかも重大事件の犯人のようになり、自殺については、報道することで模倣する者が続いてしまう。
 いずれも「伝えすぎ」による弊害。
 対して、「伝え足りない」こととして、ある日、森本氏が乗ったタクシーの運転手が森本氏に、

後期高齢者なんとかってのはひどい制度だ」

と言っていたと。
 そこで森本氏が、

「でもあれは、小泉さんのころから決まってた話で…」

と言うと、えらくビックリされた、という話。本来伝えるべき話をマスコミが伝えていない、あるいはわかりにくいから伝えられない実例。
 ヨミダス文書館より検索。

2006. 06. 14
医療制度改革法が成立 高齢者負担増
東京夕刊 夕一面
 高齢者医療の抜本的な見直しなどで医療費の抑制を目指す医療制度改革関連法が、14日午前の参院本会議で与党の賛成により可決され、成立した。これにより、10月からは、70歳以上で現役並みの所得(夫婦2人世帯で年収520万円以上)がある人の窓口負担が3割(現行2割)に引き上げられる。長期療養の療養病床で入院する70歳以上の患者は、食費や光熱費など居住に必要な費用が原則、自己負担となる。
 窓口負担については、2008年度からは、現役より所得が少ない70〜74歳も2割(現行1割)となる。同年度には、75歳以上の高齢者を対象に後期高齢者医療制度」を創設し、保険料率を都道府県別に設定する仕組みを設ける。「医療が必要のない社会的入院が多い」という指摘がある療養病床(38万床)も、12年度までに15万床に削減するほか、〈1〉都道府県が「医療費適正化計画」を策定し、生活習慣病予防事業を実施して5年ごとに成果を検証する仕組みの創設〈2〉出産育児一時金(30万円)の35万円への引き上げ――なども盛り込んだ。 

 確かに関連法案成立のニュースは約2年前。第3次小泉改造内閣での話。
 これを決めたのは国会議員なのに、決まってずいぶんと日がたってから、後期高齢者医療制度が始まって初めて、こりゃ問題だと騒ぐ議員連。MSN産経ニュースより。

後期高齢者医療制度 自民が議連発足 補選結果で見直し論に拍車も
2008.4.17 21:02
 75歳以上が対象の後期高齢者医療制度長寿医療制度)をめぐり混乱が続いていることを受け、自民党内に議員連盟後期高齢者医療制度を考える会」(会長・佐藤剛男政調副会長)が発足した。同制度をめぐる議員連盟ができたのは初。初会合には91人(うち代理50人)が参加。厚生労働省に制度を分かりやすく説明するよう注文が付いたほか、次期衆院選への影響を懸念する声が相次いだ。
 後期高齢者医療制度は27日投開票の衆院山口補選の大きな争点で、選挙結果次第では、見直し論が一気に強まる可能性もある。
 「なぜ新制度を導入するのか、地元の支持者に分かりやすく説明する資料がない」「早めに新しい保険料を伝えていればこんなことにはなっていなかった」。会合では厚労省の説明不足に批判が噴出した。

後期高齢者医療制度 自民が議連発足 補選結果で見直し論に拍車も

 んでもってあわてて説明用の資料を厚労省が作ったりもする。
 医療・介護情報CBニュースより。

長寿医療制度でここがよくなる!!」
 厚生労働省はこのほど、75歳以上の高齢者を対象にした後期高齢者医療制度長寿医療制度)の“メリット”を解説した「長寿医療制度でここがよくなる!!」と題する4ページの資料を作成し、各都道府県の担当者に送付した。資料では、「ご安心ください。今までと同じ医療を受けることができます」と繰り返し強調し、医療関係者の連携によるきめ細かな訪問診療や、退院前後のサポートの充実などをアピールしている。

「長寿医療制度でここがよくなる!!」

 厚労省のサイトにそのPDFがある。



 役人がやっつけ仕事で作っただけあって、なんだかわからないことこの上ない。
 本来ならば、こう言ったことをやさしく解説する仕事こそマスコミの仕事なのだが、やはり目に付きやすい、ニュースとして目立ちやすいものをまず取りあげたがるもの。
 その結果として、「伝えるべきことが伝わっていない」ということを、TBSラジオの1コーナーで、森本毅郎というマスコミ側の人間が言うことに少々の違和感はあるが、この事は憂慮すべきことではある。しかし、今に始まったことではない。
 チューリップを誰が傷つけたかなんてのはほっとけとは言わないが、その前に伝えるべきこと、追いかけるべきことがたくさんあるんじゃないかと。
 しかし現実は、マスコミも所詮は営利企業。売れてナンボの世界。
 ならば、センセーショナルな、皆の目をグッと引くようなニュースを優先せざるを得ないとなってしまうのも、どうしようもないことなのかなぁ、と考えてしまう金曜の夜。
 今日も平和な夜であることを祈るのだ。