南淵先生って、m3.comでなんかあったの?

 今日の読売新聞より。以前にもどこかで見たような、南淵先生のネット批判。たぶんm3.com限定。
 あれだけ大所帯だと、玉石混淆となるのは当然の話で、それにひとつひとつ文句をつけていたらきりがない。2chに文句を言っているのと同じこと。それだけをとらえて、心が荒廃しているだの、対策を講じることが医療再生への近道になるだのと言う話につなげるのは、あまりに間抜けな論調。了見が狭すぎる。
 で、南淵先生って、m3.comでなにかあったの?
追記)よくよく読んだら、

 医師専用ホームページの書き込みが物語る、医療の根幹に潜む医師の心の荒廃に眼を向けるべきだ。医療事故や、犯罪などを行った医師について、厚生労働省医道審議会行政処分を審議するが、こうした現状についても討議し、抜本的な対策を講じるべきだ。それが、医療再生への近道となるだろう。

…と否定的な話ではないようで。「あんなこと書いている医師の荒んだ心を考えろ。」と言うことか。
(2007年8月3日 13:30追記
 以下は記事。ウェブ上に記事がないので、テキスト起こししました。

論点


医師の心の荒廃
ネットで中傷共感力欠如


 世の中でインターネットを利用する人は多い。人それぞれの利用方法があるだろうが、匿名で他人を中傷する書き込みが随所で問題視されている。
 医師専用の会員制ホームページもその例に漏れない。会員になると、メールでの時事ニュースや薬剤情報配信などの便利なサービスを受けることができるほか、匿名で書き込みができるぺージもあり、会員は誰でも閲覧可能である。
 だがそこに、散見されるのは、一方的に特定の医師を誹謗中傷する書き込みだ。例えば、病院と係争中のある大学教授に対しては、悪意のある書き込みの数が4か月で200を超えた。病院の内部関係者としか思えないような書きぶりで、医師の人格、積み上げてきた成績、経歴を否定する。刑事裁判の検察側として意見を述べている医師に対しては、嫌がらせの行動を起こすことを呼びかける。
 これらはみな医師によるものであるが、暗闇から石を投げつけるような卑劣な内容だ。これをただ「ネット社会の弊害」と打ち捨てていいものだろうか。
 このぺージはほかにも問題のある書き込みが存在することが週刊誌などでも指摘された。
 死亡した患者の個人情報が詳細に書き込まれていたり、子どもが薬剤の副作用で死亡したケースについては、母親のせいであると決め付ける。先天性の心臓病の修復手術の際、脳障害が起こったケースでは、その結末は原因を作った親の責任だ、とも書き込まれていた。
 およそ医師とは思えない、いや人間とは思えない内容だ。被害にあった数名が書き込んだ医師の氏名を開示するよう、ホームページの管理会社に要請したが、全く応じない。
 さすがに最近ではあからさまな誹謗中傷は管理会社が削除する対策に出たが、こうした医師が数多くいるという現実は、医療が内部から崩壊していることを物語っているのではないか。
 「やっぱりお医者さんは選ばないといけませんね」
 書き込みの被害にあった医師たちが、警視庁に告訴状を持ち込んだが、その際に、くだんの書き込みを読んだ係官がそう反応した。誹謗中傷を匿名でせっせとネットに書き込む医者になど、患者としては決してかかわりたくない。これがまっとうな社会の反応であろう。
 医師の質を向上させるために、専門医制度が設けられたが、個々の医師間に厳然と存在する資質の格差を一切問わないできた。医師不足が取りざたされているが、数さえ増やせばいいわけではない。世界医師会は「医の倫理マニュアル」で、医療の中核となる資質について、共感力、能力、自律を挙げている。特に医療現場では、共感力がなければ話にならない。「相手は一体どう感じるだろう」と患者に共感しようとする姿勢は、医療の原点だ。
 匿名で個人を誹謗中傷する医師たちにはこの共感力が欠如している。では倫理教育を強化すれば済むことだろうか。倫理感は人に押し付けられるものではない。信念に基づき、正々堂々と人生を突き進むところに自然とわき上がってくるものだ。それをどう育成するかが重要だ。
 医師専用ホームページの書き込みが物語る、医療の根幹に潜む医師の心の荒廃に眼を向けるべきだ。医療事故や、犯罪などを行った医師について、厚生労働省医道審議会行政処分を審議するが、こうした現状についても討議し、抜本的な対策を講じるべきだ。それが、医療再生への近道となるだろう。


南淵明宏(なぶちあきひろ)
大和成和病院病院長
 心臓外科医。主な著書に「釣られない魚が大物になる」「僕が医者を辞めない理由」など。49歳。