期待を裏切らない内容。

 以前、「毎日新聞社社員の作文能力。」で取り上げた稚拙な文章。それに続いて、やっとでました第2弾。期待を裏切りません。
 「ステトスコープ・チェロ・電鍵」、「待ち時間が長いのは、医療機関の所為? 」より。
 ソースがネット上にないので、新聞・雑誌記事横断検索より。

筑後評論:病院(2) /福岡

 待ち時間の長い理由の一つに挙げられるのは医師不足です。

 お、少しはわかってきたのかな、と思わせて、いくつか統計結果を挙げて、医師不足に理解を示しつつ、なぜか、

また、昨年12月から別件で多くの病院を回っている私の経験で言えば、職員や看護師の応対の違いでも待ち時間にかなりの差が出るようです。いずれにせよ、たとえ名医がいようと、患者の待ち時間に無頓着な病院は「いい病院」とは言えないと思います。

…と自らの経験則をおりまぜて、そのうえ、「いずれにせよ」と、ここまでの内容を全てどこかに追いやって、無理やり結論に結びつける。しかも小学生のように、「〜と思います」という親しみやすい文体で。
 ホントに毎日新聞は、病院のことを書かせたら日本一だね。
 あとね、一言だけ言わせてもらえるなら、

…患者の待ち時間に無頓着な病院は「いい病院」とは言えないと思います。

 無頓着なのではなくて、
 予約時間をどうひねくり回しても、フリーアクセスだから、大病院を求めて患者さんはひっきりなしに来るし、病院だから、予約と予約の間に緊急患者が入ったりもする。なので、どう改善しようとしても、全てが予約通りにいくはずがないという現状があるのだ。
 また、ただでさえ多い患者さんを、全て診なくてはならないので、必然的に1人にかける診療時間は少なくなる。
 「待ち時間3時間、診察3分」、死語でも何でもなく、よくある光景。
 不満ならば、大病院へのアクセス制限、かけてみますか?
 診察待ち時間・診察時間は改善されるでしょうが、

…昨年12月から別件で多くの病院を回っている私の経験で言えば、

 こんなふうに、「多くの病院を回る」なんてことができなくなりますよ。
 以下は記事。

筑後評論:病院(2) /福岡
2007.08.20 地方版/福岡 25頁 写図有 (全965字) 
 「待ち時間3時間、診察3分」はすでに死語かと思っていましたが、いやいや、まだまだありました。5月の人間ドックで「要精密検査」となり、久留米市のある病院を7月に再訪した時のことです。半月前から予約を入れたうえで指定時間前に受け付けを済ませ、検査そのものはスムーズに進みました。しかし、診断まで2時間以上待たされた揚げ句、医師の説明はたった数分でした。待合室を見回すと、やはり、待ち時間の長さに何度もため息をつく人や治療をキャンセルする人が何人かおり、中にはあまりの長さに体調悪化を訴える人までいました。
 厚生労働省の05年の調査によると、病院の平均待ち時間は「15分以上30分未満」が23・3%と最も多く、以下(2)15分未満(22・8%)(3)30分以上1時間未満(21・8%)(4)無回答(10・6%)(5)1時間以上1時間30分未満(11・2%)――でした。病院の規模が大きくなるにつれて待ち時間も長くなる傾向にあり、私が経験した「2時間以上」は全体の4・9%もありました。
 待ち時間の長い理由の一つに挙げられるのは医師不足です。5月28日付の本紙朝刊によると、03年の日本の医師数は人口1000人あたり2人で、これはOECD経済協力開発機構)加盟30カ国の平均2・9人を下回り、27位です。記事の中で近藤克則・日本福祉大教授(社会疫学)は「政府は医療費を抑えるため医師数を抑え続けてきたが、もう限界だ」とし、2020年には日本が最下位国になる可能性を指摘しています。
 また、6月1日付の本紙朝刊は、厚生労働省の統計を基にした東北大研究チームの分析結果として、全国の医療機関が報告した医師数(02年度で29万286人)には保健所勤務などの非医療従事者も含まれ、実際の常勤医はこれより約4万人少ない、と指摘していました。
 ただ、医師数は地域間で格差があり、一般によく「病院が多い」と言われる久留米で私がかかった病院の医師数が適正なのかどうかはわかりません。また、昨年12月から別件で多くの病院を回っている私の経験で言えば、職員や看護師の応対の違いでも待ち時間にかなりの差が出るようです。いずれにせよ、たとえ名医がいようと、患者の待ち時間に無頓着な病院は「いい病院」とは言えないと思います。<久留米支局長・荒木俊雄>
筑後版〕