舛添氏のことをインターネットで調べてみる。

 先日、大学病院のパート看護師と、どういう話の流れからか、西川史子女史の話から、「彼女、稼いでるんじゃないの?」となって、「そうそう、稼いでいるといえば…」と朝青龍を診察した本田昌毅医師の経歴の話となり、そこから、「そんな経歴が丸ごとわかってしまうインターネットってこわいわねぇ」という話になった。
 実際、学会発表の当事者になるというだけではなく、共同演者のひとりとして名を連ねるだけでも、ネット上で容易に名前を見つけることができ、また医局紹介や外来担当表にも名前を見つけることは容易だ。
 研究発表の経験がある看護師も、自分の名が世間に出ることになるだろうが、一般の看護師と比べると、医師は自分の名前が世にさらされていることに変に慣れっこになっているのかもしれない。もっとも、経歴までは、自分がさらすか、講演でもやって、ヒトにさらされるかしない限りは出ないはずだけれども。
 舛添要一氏について。さっそく各所で取り上げられているようで、いつもおじゃましている、「勤務医 開業つれづれ日記」では、Wikipediaでの舛添氏のページを取り上げている。
 参議院議員でもあり、国際政治学者でもあり、タレントでもある、氏のエピソードは多々あるので、それはWikipediaを参照していただくとして、さきほど、舛添氏について検索した結果から2つほど。
 1つ目は、これも各所で取り上げられているページ、Sankei WEBより。
【正論】参議院議員、国際政治学者・舛添要一 2007年を医療ルネサンス元年に
ウェブ魚拓

 母を看取った現在は、子育てに奮闘しているが、それだけに介護問題とともに、産婦人科や小児科をめぐる諸問題にも積極的に取り組んでいる。医師不足の問題については、自民党の特命委員会や政府・与党協議会のメンバーとして対策案の取りまとめに当たっているし、自民党参議院選挙公約でも、医師不足対策は特筆される予定である。
 しかし、問題は単に医師の数を増やせばよいというほど、単純ではない。日本の医療体制全体にメスを入れて抜本的に改革することが不可欠であり、医療サービスの受け手、つまり患者にとっても、また提供側、つまり医師や看護師にとってもプラスとなるような改革を模索する必要がある。いわば、日本の医療ルネサンスという夢を皆で協力して実現させたいと思う。

 「日本の医療体制全体にメスを入れて抜本的に改革する」、「医療ルネサンス」なんて、言うことはデカク聞こえるが、結局自民党の公約については、私も6月に「勝手にリンクしてみる。」で触れているように、具体性に欠ける話が多かった。実現といっても、最近の厚労省の迷走ぶりを見るとそれも期待できない…という私もこれ以上触れるのは面倒くさいので、次。
 2つ目。くまにちコムより、講演の話から。
地域の介護充実を クリニカルパス学会市民講座 舛添要一氏講演
ウェブ魚拓
 認知症の母親の介護の経験から、医療福祉に一家言あって、政治家に転身した。これはさきほどの「正論」でも触れられていること。そういった意味では、少なくとも前任の柳澤氏よりは期待はできる。しかし、 

 また、日本の予算規模80兆円の中で医療費が30兆円を占めるというデータを示し「医療費を抑えるため、病気や介護の予防が大切になる」という見方を示した。

 これは自民党である以上、致し方ないのだろうか。医療費を増やそうという考えに至っていないのが非常に残念。
 参議院選挙を経て、武見氏の落選、自見氏の当選という事態を目の当たりにして、その原因を熟慮していただき、医療の現状に対して一家言持っているのならなおのこと、今までの厚労省の政策とは異なった、それを覆すような考えを是非ぶち上げていただきたい…が、年内解散総選挙もあり得るからねぇ。どうなることやら。
 以下は記事。
 まず、Sankei WEBより。

【正論】参議院議員、国際政治学者・舛添要一 2007年を医療ルネサンス元年に
 ■無過失補償制度など態勢整備へ一歩
 ≪医師を増やせばいいか≫
 日本各地で、医療ミス、医師不足産婦人科の閉鎖などが話題となり、医療をめぐる訴訟も急増している。私たちにとって最も大切なのが健康であり、不幸にして病に罹(かか)ったり、けがをしたりしたときには、いかにして早く回復させるかを考えねばならない。政治の課題もそこにある。
 私は、ふるさとの北九州市に住む認知症(当時は痴呆(ちほう)症と呼んでいた)の母を7年間にわたって遠距離介護した体験があり、それがきっかけで政治家に転身した。そこで、国民の健康を守ることを自分の政治活動の主軸に据えてきたし、教育と医療については、貧富の差による差別が絶対にあってはならないと考えている。
 母を看取った現在は、子育てに奮闘しているが、それだけに介護問題とともに、産婦人科や小児科をめぐる諸問題にも積極的に取り組んでいる。医師不足の問題については、自民党の特命委員会や政府・与党協議会のメンバーとして対策案の取りまとめに当たっているし、自民党参議院選挙公約でも、医師不足対策は特筆される予定である。
 しかし、問題は単に医師の数を増やせばよいというほど、単純ではない。日本の医療体制全体にメスを入れて抜本的に改革することが不可欠であり、医療サービスの受け手、つまり患者にとっても、また提供側、つまり医師や看護師にとってもプラスとなるような改革を模索する必要がある。いわば、日本の医療ルネサンスという夢を皆で協力して実現させたいと思う。
 ≪産科・小児科の深刻事態≫
 2006年2月18日、福島県立大野病院の産婦人科医が医療事故に関して業務上過失致死罪および医師法違反容疑で警察に逮捕され、全国の医師たちに衝撃を与えたことは記憶に新しい。この医療事故とは、2004年12月17日に、患者が帝王切開中に大量出血して死亡した件である。この事故は、癒着胎盤という極めてまれなケースで事前診断が困難であり、かつ予想外の大量出血であり、医療ミスではない。このような患者に対して適切な対応ができないシステムこそを問題とすべきなのである。
 ≪「医療崩壊」の現場から≫
 この事件以来、産婦人科医や分娩(ぶんべん)実施施設の数が激減しており、極めて深刻な事態となりつつある。産婦人科と並んで問題なのが小児科であり、医師不足問題の中でもこの2つの科が目立っている。医師不足問題の背景には、病院勤務医の過剰労働と賃金面でも恵まれない状況がある。当直勤務が多く、夜間や休日に患者が集中する状態は過酷である。患者の生命を救うという医師の使命感にのみ頼るには限界がある。さらには、近年における医療紛争の激増はいつ訴えられるかわからないという不安を増大させ、医師になる気を喪失させてしまう。最近は女性医師がとりわけ産婦人科や小児科で増えており、彼ら自らが出産・育児で離職することも医師不足に拍車をかけている。また、大学の医局の医師派遣機能も低下している。
 以上は、医療提供者側から見た諸問題であるが、医療サービスの受益者側からみても多くの問題がある。たとえば、3時間待って3分しか診てもらえない。単なる風邪なのに山ほど薬をもらうといった不満からはじまって、適切な治療が提供されているのだろうかといった根本的な疑問すら抱かせるような医者の対応もある。医療事故に遭った人たちは(1)原状回復(2)真相究明(3)反省謝罪(4)再発防止(5)損害賠償−という5つの願いを持っている(「医療被害防止・救済システムの実現をめざす会」資料)。このような願いを実現させるためにも、医療ルネサンスが必要なのである。
 昭和大学医学部産婦人科主任教授の岡井崇氏が、産婦人科の現場の深刻な実態を『ノーフォールト』(早川書房)という書で告発している。広範な国民に理解してもらいたいという気持ちで、小説の形で「医療崩壊」の現場をリポートしている。
 岡井教授も提案しているように、無過失補償制度を導入することも一つの解決策である。政府・与党は昨年度の補正予算と今年度予算で、とりあえず産科について無過失補償制度を創設する前提となる調査を開始できるように1億2000万円の予算措置を講じたところである。さらには、医療事故に関わる死因究明制度の検討のため1億3000万円の手当てをした。
 これらは端緒にすぎないが、多角的に問題を検討して、2007年を日本の医療ルネサンス元年とすべく全力をあげたいと思う。(ますぞえ よういち)
(2007/06/01 05:04)

 くまにちコムより。

地域の介護充実を クリニカルパス学会市民講座 舛添要一氏講演
 第7回日本クリニカルパス学会学術集会(会長=副島秀久・済生会熊本病院副院長)の市民公開講座(熊日共催)が18日、熊本市大江の県立劇場であり、参議院議員舛添要一氏(57)が、認知症の母親を介護した経験や政治家としての視点から、医療や福祉のあるべき姿について講演した。
 クリニカルパスは、治療の効率化やケアの向上を目的に入院患者らに手渡される診療スケジュール表。同学会が毎年学術集会を開いて普及を図っており、今回は17日からの2日間、全国の医療関係者約2500人が参加して同市で開かれた。
 公開講座は約800人が聴講。「これからの医療と福祉はどうなるのか」と題して講演した舛添氏は、障害者や高齢者が自立し、身体機能に応じて社会生活を営むノーマライゼーションの重要性を指摘。その方策としてインターネットなどの利便性を説き、会場の高齢者らに積極的な活用を呼び掛けた。
 また、日本の予算規模80兆円の中で医療費が30兆円を占めるというデータを示し「医療費を抑えるため、病気や介護の予防が大切になる」という見方を示した。
 さらに「東京から母親が住む北九州に通って介護したが、誰が介護をするのかということと費用の負担で苦労した」と述懐。「介護保険導入で金銭的負担は軽くなっている。今後は各地域で医療や福祉のスタッフを充実させ、家族が安心して愛情を注げる態勢づくりが必要になる」と語った。(富田一哉)
  (熊本日日新聞2006年11月19日付朝刊)