今日の「モラルを問う」。

 今までも医療関係者への暴言・暴力については何度か特集していたが、今回はその記事への反響の話。
 気になった点3つ。まず2つ。病院側の問題点としてあげられた2例。

 村上さんは、都内の総合病院で、3分間の診察のために2時間も待たされた。医師はパソコンの画面だけを見つめ、顔色すら確認せずに検査を受けるよう指示。「これで診察行為と言えるのか」と、村上さんは首をかしげる

 現在、国を挙げて、電子カルテ普及大作戦を展開中。大病院ではパソコン打ち込み技術は必須科目。
 外来では、経験ある方は御存知と思うが、キーボードで所見を打ち込みながら、ときにはマウスで絵を描きながら、患者さんとお話をしなければならない。
 が、目を見て話をするのは紙カルテより難しい。それが出来るヒトは、かくし芸のひとつとして、忘年会のレパートリーにいれてもいいくらい。「キーボードを見ないで、患者さんから視線をそらさずに、SOAP打ち込むことができまーす」とか言って。
 ま、患者さん自身の診察をしないのはそれはそれで問題だが、大病院だとそれすら省略することもあるのが現実。

 横浜市の飲食業男性(28)は、5年前にバイクの事故で都内の病院に運ばれた際、帰りの交通費が足りないと訴えたのに診療費全額を支払わされた。腫れた足を引きずり、1時闇以上かけて歩いて帰ったという。

 この記事だけでは時間外外来なのか、通常外来なのか不明。保険証を持っていたのかさえわからない。
 時間外外来であれば、通常の会計作業が出来ないため、とりあえずの料金として、いくらかいただいて、のちに日中外来にきて精算ってことはある。
 日中外来であっても、保険証がなければ、とりあえず自費ではらって、あとで精算、ということも自分自身やったことがある。
 でも、交通費が無くなってしまうところに「持っているじゃないか、やれ払え、さあ払え」と請求するところはあるのか。ケガ人相手に酷な気がするが。しかし、必要な料金は払うのが当たり前。
 誓約書書かせて、あとで会計に来てもらうって手はないのかな。もっとも、そんなことをすると、踏み倒すヒトが続出する世の中だからねぇ、なんとも言い難いが。
 気になった点3つ目。医師側からの意見。

 首都圏の大学病院の医師も、「患者の言動で傷つくことで、医療を支える人がいなくなれば、結局は患者の側が困ることを分かってほしい」と訴える。

 自分がひねくれているだけかもしれないが、この意見、「オレらがいなくなったら、おまえらが困るんだぜぇ」と医師を悪者にしていないか。
 医療の読売というが、記事としては今一つ。
 以下は記事。

モラルを問う
医療関係者への暴言・暴力
「納得できない犠牲」/「患者の不満は当然」
 患者による病院内の暴力・暴言問題を取り上げた読売新聞のキャンペーンに対し、読者から計70件以上の反響が、メールやファクスで寄せられている。
 このうち、暴力や暴言の被害に遭ったという医師らからの訴えは、20件近くあった。「医療関係者は奉仕や犠牲の精神がなくてはいけないのかもしれないが、こんな犠牲は納得できない」。看護師になったばかりの長女(21)を持つ千葉県内の主婦(55)は、そう書いた。
 最近、長女の腕に数か所の大きなあざが見つかった。食事療法でストレスがたまった患者から、つえで殴られていた。主婦は「自分を責めて、精神的に追い込まれることがなければいいのですが……」と、祈るような気持ちだという。
 首都圏の大学病院の医師も、「患者の言動で傷つくことで、医療を支える人がいなくなれば、結局は患者の側が困ることを分かってほしい」と訴える。
 一方、「不満のたまっている患者が怒りを爆発させるのは当然」と話す埼玉県春日部市の会社員、村上浩さん(52)のように、病院側の問題点を指摘する声も多い。
 村上さんは、都内の総合病院で、3分間の診察のために2時間も待たされた。医師はパソコンの画面だけを見つめ、顔色すら確認せずに検査を受けるよう指示。「これで診察行為と言えるのか」と、村上さんは首をかしげる
 横浜市の飲食業男性(28)は、5年前にバイクの事故で都内の病院に運ばれた際、帰りの交通費が足りないと訴えたのに診療費全額を支払わされた。腫れた足を引きずり、1時闇以上かけて歩いて帰ったという。
 病院側は現在、警察OBを招いて警備を強化するなど対策に乗り出しているが、夜中でも診察に駆けつけた開業医の父親を見て育ったという茨城県龍ヶ崎市の手芸デザイナー、豊田昌子さん(46)は、「人間同士の温かみを取り戻し、病院がもっと患者の声に耳を傾けることこそが大事」と指摘する。
 千葉県柏市の主婦(65)は7年前、片耳に異状を感じて総合病院に行き、医師から「手遅れだ」と突き放された。すがる思いで近所の開業医を訪ねると、「これはつらいね」と、じっくり話を聞いてくれた。「治ったわけではないが、あの一言に救われたし、今でも耳の状態を診てもらっている。医師に必要なのは、技術だけではないと思います」。主婦は手紙にそうつづっている。