政府とマスコミの恐ろしさ。

 自民党総裁選のときもそうだった。とくに読売。本当はまだ決まっていない事項をあたかも決定したことのように報道する。そのことについての批判検証一つもなし。やっぱり読売は止めどきだ。
 YOMIURI ONLINEより。

消費税は「社会保障税」に改称を…自民の財革研が提言
 自民党の財政改革研究会(会長=与謝野馨・前官房長官)は21日、財政の健全化に向けた中間報告をまとめた。
 消費税を、国民に社会保障サービスを提供するための財源とはっきり位置づけ、「社会保障税(仮称)」に改称することを提言した。団塊の世代が年金受給者になってくるなど増え続ける社会保障費を賄うため、消費税率は2010年代半ばに、少なくとも10%程度まで引き上げる必要があると指摘した。
 09年度には基礎年金に占める国の負担割合が引き上げられ、消費税率で1%に当たる2・5兆円も国の出費増になることに加え、11年度に基礎的財政収支を黒字化する政府目標を達成するため、「早期に税制上の措置を講じる」と明記した。09年度と10年代半ばの2段階で消費税率を引き上げるべきだとの考え方を強くにじませた。
 国の財政全体のあり方については、社会保障とそれ以外の分野に大きく二分し、社会保障は基本的に消費税(社会保障税)だけで賄う仕組みにするよう求めた。社会保障サービスが消費税に支えられていることを分かりやすくすることで、消費税率引き上げに国民の理解を求める狙いがある。
(2007年11月21日23時1分 読売新聞)

 たしかうろうろドクター先生のところでいい記事が…あ、あった。
道路と医療、どちらが大事ですか?」から。ニュース元はYahoo!から。
特定財源使い切る 10年計画で道路整備に65兆円 国交省が素案

 国土交通省は13日、2008年度から10年間の道路整備のあり方を示した中期計画の素案を発表した。総事業費は、道路整備費65兆円、高速道路の料金値下げといった道路関連施策費を3兆円以上とした。また、建設予定の高速道路や国道約2900キロは原則すべて建設する方針を盛り込んだ。
 道路特定財源の税収実績は単年度で3・4兆円(国分)。整備費はこれをすべて使い切る計算で、一般財源化の対象となる余剰は生じないとした。
 このため、道路特定財源に上乗せしている暫定税率については、来年度以降10年間の延長を、08年度の税制改正要望で求める。

 かたや、国土交通省は、単年度で3.4兆円、「暫定」税率の期間延長までやって、しかもそれを「道路のために使い切る」とまで言い切り、かたや、自民党の財政改革研究会が、1年で2.5腸炎…もとい、2.5兆円もの出資増になるからと、“消費税”の名前まで変えて、国民に負担を強いることを目論んでいる。そして、それをマスコミがあたかも決定事項のように報道する。
 ここのところ、そんな増税のニュースばかり。なんという国だ。
 おなじく、うろうろドクター先生のところで拾ったニュース。医療・介護情報CBニュースより、本田先生の意見。
社会保障は抑制しかないのか?

 本田氏は各地の講演で「日本の公共事業費は、G7(先進7カ国)の公共事業の年間予算の合計額よりも多い。このように財源はあるはずなのに、医療費を削って国民の命を軽んじている政策はおかしいではないか。先進国は、どこの国でも公共事業費より社会保障費に多くの予算を使っている。日本の公共事業は欧米の3倍、社会保障は半分であり、こうした財政を見直さないと、医療にお金が回らない。医療は〝命の安全保障〟ということを国民的な議論に高め、国の姿勢を根本的に変えていくべき」と訴えている。

 我が県にも、御多分に漏れず、いつでもすいていてスイスイ走れる高速道がある。なんのための道路だかよくわからない。ちょっと便利かな、といった程度。
 その道路を造るための一時的な雇用は生まれるだろうが、ヒトの命は救えない(雇用という意味で間接的には救うことになるかもしれないが)。
 問題は、それが、
「無いと死んじゃう!」
…ってほどの需要があるかどうかだ。
 社会保障費は間違いなく、「無いと死んじゃう!」レベルの話であり、これを未だに二の次にしている国の政策はどう考えてもおかしい。
追記)先ほど思いついたけど、あえて記さなかったこと。

社会保障サービスが消費税に支えられていることを分かりやすくすることで、消費税率引き上げに国民の理解を求める狙いがある。

 以前、読売の記事を取りあげたことがあるが、最近、モンスターペアレントともに、モンスターペイシェントの存在が叫ばれている。
 Wikipediaモンスターペアレントより引用。

…こうした保護者の増加の原因を「保護者の消費者意識の暴走」と見ている。喜入によれば、保護者は自分の子供が学校で他の子供より「損」な待遇を受けることが我慢できないのであり、それは「同じ値段を払えば同じ商品が手に入る」という意識で教育サービスを捉えているからであるとされる。

 医療に対しても同じような考えを持つことで、いわゆるモンスターペイシェントが出てくるのであろう。
 そんななかで、消費税を「社会保障税」と改称すると、自分たちが社会保障を支えているんだという思いを持つと同時に、「消費者意識」をより強く持つことに繋がり、
「オレは毎日税金払って、社会保障に貢献しているのに、なんで外来で待たされなきゃなんねぇんだ」
「オレはおまえらに金払ってんだぞ。なんだその口のきき方は」
これだけ税金払っているのに、なんで治せないの?」
…などと訴える患者や患者家族が増えるのではないだろうか。
(2007年11月23日 21:10追記