こんな連中にまかせちゃいけねぇ。

 選挙が近づくにつれ、ここまで露骨だとは正直思っていなかったが、実現できんのかと思うような政策がぶち上げられ、それが新聞の一面を飾る。「総合科」の件でもそうだが、実現可能か検証することもなく、関連団体がその報道を明確に否定しているにもかかわらず、それを報道しなかったり、マスコミは全く機能していない。それどころか、こういった報道をすることで、特定政党、この場合与党だが、そこへの利益誘導につながる。
 与党が下手な政策でどう騒ごうと、医療サイドの意見を取り入れなければ、医療崩壊は既定路線であるし、それ以外の政策についても推して知るべし。
 では、どうしたらいいか。今の政府にNOという。与党を引きずり下ろす。そのためには選挙で投票を行うこと。これはここ数年、確実に行っている。
 今朝の読売新聞より、
 拠点病院から医師派遣、地方での不足解消…政府・与党方針
 これは、今どこでもやっている話ではないのかな。少なくとも私の所属している医局ではやっている。しかし、なんといってもタマ数が足りない。だから、みんな中央に引き上げて、中小病院に人がいなくなる。地方医師不足って、そうやって起こっているんじゃなかったっけ。
 間違い探しと問題点。

 医師派遣は従来、大学病院の教授が若手の研修医の人事権を握り、派遣先を決定してきた。だが、2004年度から医師臨床研修制度が義務化されると、若手医師らは上下関係が厳しい大学病院を敬遠して待遇のいい国公立病院などに殺到し、大学病院中心の医師派遣は事実上、崩壊した。

「若手医師らは上下関係が厳しい大学病院を敬遠して…」
 上下関係が厳しい?そんな理由じゃないでしょう。看護師が働かないとか、雑務ばかり多い割に事務が働かないとか、時間とられる割に給料が安いからでしょう。

…日進月歩の医療技術に対応するため、派遣期間は長くても1年程度に抑える方向だ。

 これやると、地方では患者さんにイヤな顔されます。
 出向先から大学へ戻る期日が近づいたとき、外来で患者さんに、自分が担当が変わる旨を伝えます。そうすると、多くの患者さんがこうおっしゃいます。
「せっかく慣れたのに…」
 2年間いてもこういわれました。1年間なんてのは短すぎます。ヒトとヒトとのつながりって結構大事です。

 一方、拠点病院に対しては、国や都道府県から、派遣する医師の人数や期間に応じて補助金を支給し、医師派遣に協力を求める。

 またアメとムチのアメだ。医師が食べることができないアメだ。イヤだね、こういうことで釣るのは。
 いずれにしても、タマ数が問題。いくらやるといっても人がいなければできない。厚労省の認識としては、偏在しているから今の問題が起きている、ってことだろうけど、その認識を改めなければ、絶対に歪みがでる政策だ。
 あと、医師派遣の件もとりあげていた、「ステトスコープ・チェロ・電鍵」で、自民党の利益誘導ぶりを露骨に出している記事があったので、すごーく取り上げたいんだけれども、そろそろ行かねばならないので、また。
 以下は医師派遣の記事。

拠点病院から医師派遣、地方での不足解消…政府・与党方針
 政府・与党は9日、地方の医師不足を解消するため、医師が集まる国公立病院など地域の拠点となっている病院から、半年〜1年程度の期間を区切り、地方の病院・診療所へ医師を派遣する新たな制度を整備する方針を固めた。
 医師派遣の主体を都道府県や病院関係者らで作る「医療対策協議会」とし、復帰後に医師が人事で不利益を受けない仕組みを担保するほか、医師を放出する拠点病院への補助金制度も導入する。厚生労働、文部科学など関係閣僚が参加する政府・与党協議会で来週から詳細な検討に入り、今年度中の制度スタートを目指す。
 医師派遣は従来、大学病院の教授が若手の研修医の人事権を握り、派遣先を決定してきた。だが、2004年度から医師臨床研修制度が義務化されると、若手医師らは上下関係が厳しい大学病院を敬遠して待遇のいい国公立病院などに殺到し、大学病院中心の医師派遣は事実上、崩壊した。
 厚労省によると、2004年に13都道府県を対象に行った調査では、都道府県庁所在地と周辺地域で人口10万人当たりの医師数が3倍以上開いていた。大学病院から地方への医師派遣が途絶え、格差はより深刻化したという。
 政府・与党は医師の偏在・不足に対応するため、医師派遣の主体を、大学病院から、医師の人気が高い拠点病院と都道府県へと移して派遣制度を再構築することにした。
 拠点病院に勤務する医師については、都道府県と病院関係者らによる医療対策協議会が派遣先や期間などを決定する。医師が拠点病院に戻った後、人事面で不利な処遇がされないように保証し、派遣を受け入れやすくする。日進月歩の医療技術に対応するため、派遣期間は長くても1年程度に抑える方向だ。
 また、地方勤務を希望する医師を外部から募集する場合には、所定の地方勤務を終えた医師に対し、同協議会が、高度な医療設備や手術内容など勤務環境の整った拠点病院で研修できるチャンスを与える。
 一方、拠点病院に対しては、国や都道府県から、派遣する医師の人数や期間に応じて補助金を支給し、医師派遣に協力を求める。
 政府・与党は、医師派遣制度に加え、地方に残る医師を増やすための大学医学部定員の「地域枠」拡大など総合的な医師確保策を取りまとめる方針で、必要なら新法制定も検討する。
(2007年5月10日3時11分 読売新聞)