なんとなくもったいないニュース。

 ローカルニュース。YOMIURI ONLINEより。

吉本社長が宇都宮市特別顧問辞任

 宇都宮市が2006年、特別顧問として迎え入れた吉本興業吉野伊佐男社長が顧問を辞任した。「笑い」をキーワードに宇都宮に活気をもたらすはずだったが、舞台である劇場の建設やお笑い芸人の報酬などで最後まで溝を埋めきれなかったのが原因だ。十分な協議をせず、話題先行で安易に動き出した結果とも言え、笑えない幕切れとなった。(阿部優樹)

吉本社長が宇都宮市特別顧問辞任

 宇都宮市としては、結局なにを期待して招聘したのだろう。吉野社長もどんなビジョンを持ってこの依頼を引き受けたのだろう。
 よくわからないままに終わってしまったこの騒動。なんとなくもったいない。
 ついでに就任当時の記事。
 2006年4月に宇都宮市の特別顧問に就任したにもかかわらず、読売新聞では就任当時には記事がなく、記事になっているのは10月13日。

2006. 10. 13
宇都宮市「笑いで活性化」構想 吉本興業の吉野社長、市特別顧問に=栃木
 ◆“吉本任せ”アカン!  
 吉本興業吉野伊佐男社長は12日、宇都宮市竹下町の作新学院大で記者会見し、今年4月に宇都宮市の特別顧問に就任したが、「笑いによって宇都宮に活気をもたらす」という当初の目的の実現に向けた取り組みが、全く行われていないことを明らかにした。

 就任半年でもうほころびが出ている。
 宇都宮の中心地が年々さびれてきているのもわかる気がする。
 以下は記事。
 まずは、就任当時の記事。ヨミダス文書館より。

2006. 10. 13
宇都宮市「笑いで活性化」構想 吉本興業の吉野社長、市特別顧問に=栃木
 ◆“吉本任せ”アカン!  
 吉本興業吉野伊佐男社長は12日、宇都宮市竹下町の作新学院大で記者会見し、今年4月に宇都宮市の特別顧問に就任したが、「笑いによって宇都宮に活気をもたらす」という当初の目的の実現に向けた取り組みが、全く行われていないことを明らかにした。
 吉野社長の特別顧問就任は、宇都宮市の佐藤栄一市長が特別顧問職を新設し、市長が招請に動いて実現した。そして、「笑いが人の免疫力を向上させる」などとして、病院や高齢者施設にお笑い芸能人が出向く案が当初は出ていた。
 しかし、特別顧問就任から約半年が経過したが、当初案の実現に向けた動きはないうえ、来年度予算に計上するかどうかは「まったく白紙」(宇都宮市)の状態だ。
 吉野社長は、「市は吉本が来て色々やってくれると思ったはずだが、我々は街づくりのプロデュースに参画して社会貢献をするのが目的」と述べ、活性化について“吉本任せ”の市の姿勢を批判した。
 吉野社長はこの日、「笑いの講義」と銘打った特別講義のために来県した。講義には、作新学院大生約100人が詰めかけた。

  YOMIURI ONLINEより。 

吉本社長が宇都宮市特別顧問辞任

2006年4月、記者会見で「宇都宮市を活気と笑いのあふれる街にしたい」と意気込み、笑顔で握手する吉野伊佐男吉本興業社長(右)と宇都宮市の佐藤栄一市長(中央)
 宇都宮市が2006年、特別顧問として迎え入れた吉本興業吉野伊佐男社長が顧問を辞任した。「笑い」をキーワードに宇都宮に活気をもたらすはずだったが、舞台である劇場の建設やお笑い芸人の報酬などで最後まで溝を埋めきれなかったのが原因だ。十分な協議をせず、話題先行で安易に動き出した結果とも言え、笑えない幕切れとなった。(阿部優樹)
■無念さにじませ
 「なかなか力になれなくて、辞任という形になった。期待してくれた方々に申し訳なく思っている」
 吉野社長は2日に市内で開かれた会合で、突然の辞任に無念さをにじませた。
 市政策審議室によると、06年12月から1年間、会合が開かれていない現状を踏まえ、07年12月26日に吉野社長に顧問辞任を打診し、同28日付で同社長は辞任したという。しかし同社長と直接コンタクトを取らなかったため、同社長は「辞任を促す手紙が突然来た」と、困惑しているという。
■新設のポスト
 吉野社長は06年4月、宇都宮市の招きで、特別顧問に就任した。佐藤栄一市長が大手芸能プロダクションの持つ発想や視点を政策に生かそうとわざわざ新設したポストだった。
 しかし、就任前に特別顧問としての役割や取り組んでもらいたい具体的内容を詰めなかったことや、就任後も、市側が「忙しい社長に配慮した」(市政策審議室の小林英明主幹)こともあってコミュニケーション不足となり、就任わずか半年後の06年10月には佐藤市長が「温度差がある」と認めるなどほころびが表面化していた。
■思惑の違い
 吉野社長は「市内に小劇場を整備して、お笑いを発信してみては」と提案した。だが、市は「小劇場の必要性を検証する時間が必要」(政策審議室)として早期事業化に難色。また、吉野社長が、「お笑いによる高齢者の免疫力の向上」を試みようとしたのに対し、市は「高齢者に限定せず、市民へのお笑いを提供してもらいたかった」と話す。ここで、事前協議を行わなかったツケが表面化した。
■今後の課題
 「脱お役所仕事」を目指して、自治体が条例設置の審議会のほかに、有識者で構成する検討委員会などを政策決定の参考にするケースは増えている。今回の吉野社長辞任のケースでは、事前協議のなさが大きな要因となった。
 宇都宮大学国際学部の中村祐司教授(行政学地方自治)は「今回は『実より名』をとってしまった」と話し、「外部から意見をもらう場合は、事前に詳細を詰めなければ有意義なものにはならない」と指摘している。
(2008年2月11日  読売新聞)