付け焼き刃(追記あり)。

 Yahoo!ニュース、時事通信より。

社会保障費で「日本経済は沈没」=消費税率の引き上げを−額賀財務相
6月29日15時0分配信 時事通信

 額賀福志郎財務相は29日、NHKの番組に出演し、増大する社会保障費について「働く世代にすべて負担を任せたら、日本の経済は沈没する」と述べ、高齢者も含め国民が幅広く負担する消費税率の引き上げで賄うべきだとの考えを示した。その上で「北欧やドイツも消費税は20%前後になっている。その一方で所得税法人税を下げているのが世界の姿だ」と指摘した。 

社会保障費で「日本経済は沈没」=消費税率の引き上げを−額賀財務相

社会保障費」「沈没」

 このキーワードについ食いついてしまう。
 同じニュースを、この時期ニュースソースとして取りあげるのには迷ったけどしようがない、毎日jpより。

額賀財務相社会保障費抑制方針を堅持

 額賀福志郎財務相は29日、NHK番組に出演し、社会保障費の伸びを2011年度までの5年間で1兆1000億円(単年度で2200億円)抑制する政府方針について「3年目で挫折するようでは世界の信任は得られず、国民の将来の不安もぬぐい去れない」と述べた。09年度予算編成に向け、7月末にも示す概算要求基準(シーリング)でも抑制方針を堅持する考えを表明した。

額賀財務相:社会保障費抑制方針を堅持

 毎日のニュースにもあるが、よく言われること。

「北欧やドイツも消費税は20%前後になっている。その一方で所得税法人税を下げているのが世界の姿だ」

 これ。ヨーロッパでは一律20%前後、税金がかかっているように思われちゃうでしょう。
 そこでWikipedia、「消費税」より抜粋

欧米では10 - 20%以上の国や州が大勢を占める (上述) 。この事実が、日本における消費税率引き上げの根拠とされることがある。経済界では、経団連が度々消費税率引き上げを主張している。
しかし、高税率のイギリスにおいて、食料品等の生活必需品が非課税であるように、欧米では品目により消費税が減免または非課税にし、低所得者層の負担に配慮しているのが一般的であり、日本で以前に施行されていた物品税に近い税制になっている。しかし、日本の消費税では、食料品などの生活必需品にも一律に課税されており、低所得者層には重い税負担になっている (日本では、医療・福祉・公教育・不動産賃貸などが課税対象外となっている) 。
(中略)
一方で、欧米の国々と同じように税率引き上げと同時に食料品 (一部高級食材を除く) や生活必需品に関しては減税、あるいは非課税にするべきという意見もあるが、線引きが困難などの理由であまり議論されていない。

 外国がこうだから、ってだけではもう通用しない。それなりの根拠がないとダメ。
 あと、社会保障費に関して。

骨太の方針08に盛り込まれた医師不足や救急医療対策などには「歳出のムダを省き、財源を手当てしたい」と述べ、抑制方針とは別枠で対応することで理解を求めた。

 医師不足、救急医療対策、いずれも後手後手。騒がれてから対策を立てている感はある。
 最近やっと、医学部定員増、なんて対策をとっている。Yahoo!ニュース、CBニュースより。

医学部定員、過去最大程度に−骨太方針08
6月27日22時58分配信 医療介護CBニュース

 政府は6月27日の臨時閣議で、「経済財政改革の基本方針2008」(骨太の方針2008)を決定した。骨太方針06で掲げた歳出削減の堅持を明記する一方、焦点の社会保障では、医師不足の解消や病院勤務医の就労環境改善などの重要課題に対して、現行の仕組みにとらわれない効果的な方策を講じるとしている。具体策として、医学部定員の削減を盛り込んだ1997年6月の閣議決定を見直し、早急に過去最大程度にまで増員する方針を示した。

医学部定員、過去最大程度に−骨太方針08

 大学に6年。研修に2年。そこからひとりで動けるようになるまで数年。全部で少なく見ても約10年はかかる。
 増やすのはけっこうなことだが、それに対しての費用、人員も考慮すべきだし、なにより医師不足は今の話だ。
 医師不足の話だけではない。看護師不足、介護士不足など、問題は山積しているはず。

後発医薬品の使用促進
▽検査などの適正化
▽不正・不適切な保険請求の是正
▽レセプトオンライン化など医療IT化の推進
社会保障カード(仮称)の導入
▽公立病院改革

 こんな対策でとても改善されるとは思えない。
 穴が空いたところをその都度ふさぐのではなく、「なぜ穴が空いたのか」を考えるべきだろう。
追記
 毎日のほうのこのくだり。

社会保障費の伸びを2011年度までの5年間で1兆1000億円(単年度で2200億円)抑制する政府方針について「3年目で挫折するようでは世界の信任は得られず、国民の将来の不安もぬぐい去れない」と述べた。

 よく読んでみれば、ずいぶんと勝手な言い草だな。
 世界のために国民の社会保障を犠牲にせにゃならんのか。もう国民は充分不安になっていると思うが。
(2008年6月29日 22:17追記
 以下は記事。
 毎日jp。

額賀財務相社会保障費抑制方針を堅持

 額賀福志郎財務相は29日、NHK番組に出演し、社会保障費の伸びを2011年度までの5年間で1兆1000億円(単年度で2200億円)抑制する政府方針について「3年目で挫折するようでは世界の信任は得られず、国民の将来の不安もぬぐい去れない」と述べた。09年度予算編成に向け、7月末にも示す概算要求基準(シーリング)でも抑制方針を堅持する考えを表明した。

 抑制方針については、自民党の厚生労働族議員から「削減はすでに限界だ」と棚上げ論が出ているが、財務相雇用保険の国庫負担廃止などを削減候補にあげ、達成可能だと強調した。一方、骨太の方針08に盛り込まれた医師不足や救急医療対策などには「歳出のムダを省き、財源を手当てしたい」と述べ、抑制方針とは別枠で対応することで理解を求めた。

 また、高齢化に伴い増大する社会保障費負担については「勤労者にすべて任せれば、日本経済は沈没する」と語り、今秋の税制抜本改革論議では、消費税率の引き上げを議論すべきだとの考えを表明した。さらに「北欧やドイツの消費税率は20%前後だ。そのうえで所得税法人税は下げるのが世界の姿だ」と指摘し、消費税増税の際には、所得税の一部負担減も含め、税制全体の見直しが必要との認識も示した。【清水憲司】

 CBニュース。

医学部定員、過去最大程度に−骨太方針08
6月27日22時58分配信 医療介護CBニュース

 政府は6月27日の臨時閣議で、「経済財政改革の基本方針2008」(骨太の方針2008)を決定した。骨太方針06で掲げた歳出削減の堅持を明記する一方、焦点の社会保障では、医師不足の解消や病院勤務医の就労環境改善などの重要課題に対して、現行の仕組みにとらわれない効果的な方策を講じるとしている。具体策として、医学部定員の削減を盛り込んだ1997年6月の閣議決定を見直し、早急に過去最大程度にまで増員する方針を示した。

 また、消費税を含む税体系の抜本見直しに取り組み、社会保障を支える安定的な財源を確保する方向性を示したが、具体的な実施時期にまでは踏み込まなかった。

 骨太方針08では、歳出・歳入改革を徹底することで、11年度に国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を確実に達成する方向性を明記。社会保障分野については、サービスの質の維持・向上を図りつつ、徹底した効率化を図る方向性を示した。
 具体的には、昨年策定された「医療・介護サービスの質向上・効率化プログラム」に沿って、▽後発医薬品の使用促進 ▽検査などの適正化 ▽不正・不適切な保険請求の是正 ▽レセプトオンライン化など医療IT化の推進 ▽社会保障カード(仮称)の導入 ▽公立病院改革―などに取り組む。

 一方で、産科・小児科をはじめとする医師不足の解消や、病院勤務医の就労環境改善を重点課題に位置付けた上で、これらを実現するため、女性医師の就労支援や関係職種間の役割分担の見直し、メディカルクラークの配置などを推進するとした。また、医学部定員減を決めた97年の閣議決定を見直し、「早急に過去最大程度まで増員する」と明記。さらに、今後必要な医師養成についても検討する方針を示した。

 後期高齢者(長寿)医療制度については、政府・与党協議会の決定に盛り込まれた対策を実施し、低所得者の負担軽減を図る。このほか、介護・福祉サービスを支える人材を確保するため、キャリアアップの仕組みの導入などによる処遇改善を目指す。

 09年度予算については、骨太方針06で示した「5年間の歳出改革の3年目に当たる」とし、最大限の歳出削減を行う方向性も示した。重要課題の実現に必要な政策経費は、「ムダ・ゼロ、政策の棚卸し等を徹底し、一般会計、特別会計の歳出経費の削減を通じて対応する」とした。